日常/感想/二次創作小説※重要。小説へはカテゴリーの一覧から飛んでください。取扱CPはDRRR:臨静臨/APH:東西&味覚音痴/異説:78中心天気組/黒バス:赤降赤/VGユニット:騎士団航空海軍他。DRRRは情報屋左推奨中。TV小説漫画DVD所有。APHは東西LOVE独語専攻中。漫画全巻CD原作柄所持TV二期迄。異説はもう天気組愛。原作は7のみ。コンピ把握。81012は動画攻略wiki勉強。究極本厨。赤降気味でリバOK。VG擬人化フレイム・サンダー辺りとか。コメント・誤字指摘歓迎します!!転載とかはご遠慮願います。
No.104
2011/06/04 (Sat) 14:39:56
pixivから転載。初めて書いたDFF小説です。
FF8の「食べる」アビリティが衝撃すぎて思わず衝動的に書きました。狼と獅子が好きすぎて末期です。
アザゼルさんのあの回失せろとか本気で思いました。
じりじりと、クラウドは距離を測っていた。背筋を冷や汗が伝い、心なしか何とも得ない気が肌を刺激する。
これは手合せ、つまり模擬戦闘のはずであった。なのになぜ、こんなにも死と隣り合わせのような恐怖を感じなければならないのか。それは今目の前に敵対している相手、スコールが原因だった。
しのぎで競り合っていたところに突然言われた一言のせいで、集中力が一瞬揺らいだ。
「あんた、やっぱりうまそうだな」
幻聴かと思った。すぐに後方に飛び、距離を測り、冒頭に至る。
今の自分の格好がアナザーでよかったと、少しだけ思った。前方に構えるフェンリルはバスターソードよりリーチが長く、いざとなれば解体して投げることもできる。ぎり、と柄を握りなおした。
対するスコールは何事も無いようにガンブレードを肩に担ぎ、鋭い視線でこちらを窺っている。動揺を誘うだけのただの言葉だったのか。それにしてはやけに真剣みを帯びていた気がする。恍惚さはなかったが、視線が一瞬、むき出しの己の右腕にあった気がする。そして何より、以前バッツやジダンから聞いた話が蘇った。
数日前にイミテーションの軍に立ち向かった時、たまたま上着に残っていたイミテーションのかけらをスコールは臆することなく口に入れたらしい。吐き出せと彼らはすぐに言ったが、いたって冷静な答えが返ってきたという。
『飴、いや、氷に近いか……甘味は薄い。色によって異なるのだろうか……』
無表情に吟味するスコールが相当に恐ろしかったようで、その後しばらくバッツとジダンはスコールとごく自然を装って別行動をとっていた。もともと一人で動くスコールだから怪しまれずに済んだらしい。
それでもその後の様子が気になって、彼らは後を付けたらしい。次々とイミテーションを倒していくが、最後に必ずかけらを掴んでは口に運んでいたという。そこまでならまだ他人事で終わらせられたのかもしれない。
『兵士が今のところ一番食えそうだ』
話を軽く流しながら聞いていたクラウドも、流石に止まった。これはどう受け取ればいいのだろうか。非常に悩んで、終わりまで話を聞いて、とりあえず気を付けておこうかなと思った。
その矢先の台詞である。
考えて後手に回るぐらいなら、先手を打った方が早い。地を踏み切り、一気に間合いを詰めてフェンリルを振り上げた。
しかし最初の振り下ろしの斬撃をバックステップで躱され、僅かな隙が生じた。ガンブレードの方が軽く、地上戦は得意なスコールは、空いた横腹目がけて剣を振った。寸での所で横に飛んで届かない範囲まで飛ぶがそれでも切っ先が脇腹を掠めとった。
掠っても、一撃入ったことに変わりはない。二人は剣を下ろした。今回はクラウドの負けだった。
互いに労う言葉も、何もなかった。これがいつもだった。この後は足をそろえて仲間のいる野営地に戻るだけ。
「……どうした?」
クラウドは足を止めて振り返った。すると、スコールがガンブレードの刃先を見ていた。目を凝らすと、血が付着していた。思った以上に入ってたのか。そう自覚すると、じくじくと横腹が痛みを訴えてきた。元来の丈夫さとジェノバ因子が相まって回復が早いため、すでに傷口はかさぶたを作り出血は当に止まっていた。
「大丈夫だ、大した怪我じゃ」
ない、と言葉は続かなかった。
付着していた血を指で拭って、そのままそれを口に運んだ現場を見てしまった。
「……」
そしてスコールの視線がクラウドへと移された。
――― これは、逃げるところだろうか
しかしここで逃走するのも申し訳がない。彼は仲間なのだ。しかし仲間であるがゆえに、嫌な時は自衛を働かせてもいいはずだと頭が訴える。しかし足に直結しない。
次第にスコールはこちらへと近づいてきた。
「すまない、少し考え事をしていた」
声音は普段通りの冷静さが保たれていた。なるほどあれは正気でやってるのか。考え事の内容は聞きたくないし、触れたくもない。いっそ狂気だったら矯正でも更生でもできたのに。
「……そうか」
そう発するのが限界だった。
とりあえず彼の手元から武器が消えたことに安堵し、クラウドは若干距離を測りながら野営地に向かった。
クラウドの血を口に含んだスコールの感想は、「人間は美味しくはない」だった。いくら美味しそうに見えても、やはり実際は違う。本当にただの血だった。鉄臭くて、無味で、気持ち悪さが残ったのはきっと脳の先入観だと思った。
イミテーションを口にしたのは探究心に近かった。モンスターに近いのか、人間に近いのか。結果自分の舌を信じるのならばモンスターに近いのだろう。その後も害は特になく、別段何かがよくなることも悪くなることもなかった。霞か何かか、とスコールは結論を付けた。
ともあれ、クラウドには少し申し訳ないことをしてしまった。ちゃんと謝っておかないといけない。
野営地に戻り夕食をとっている中、スコールは斜め横に座るクラウドを見た。目が合った。
「さっきは悪かった」
「あぁ、……」
歯切れが悪かった。確かに自分のしたことは気分のいいものじゃない。気にするな、とも言い辛いだろう。
スコールはしばし手を止めた。
「あれは、多分記憶をなくす前のアビリティなのかもしれない」
普通なら抵抗があってもおかしくないはずだ。なのに、自分は何も感じなかった。むしろ記憶をなくす以前は必要だったのかもしれないとさえ思った。
「凄いアビリティだな」
「おれもそう思う」
いろいろ嫌な音も聞いていた気がする。おかげでちょっとやそっとのスプラッタな惨事に耐性がついてしまった。そう、スプラッタ。
「そうだ、モンスター食べてたな」
からん、とクラウドの手からスプーンが落ちた。しまった食事中に話すことではなかった。スコールは二度もクラウドに謝ることになった。やや苦笑いを浮かべながらこの成人男性は応答をしてくれた。
「意外と下手物平気なのか」
「ステータス異常起こす奴もいたが、利点もあった」
「大変な仕事だな」
スプーンを持った手が、若干震えていた。
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獅子えり
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大学生
自己紹介:
日本の真ん中あたりの都市に住処有。最近有名になった大学に在学。ドイツ語専攻中。ゲームは日常の栄養剤。小説書くのは妄想を形に(笑)本自体が好きという説明しがたく理解されにくいものを持っている。横文字は間違える。漢字は得意な方。英語は読み聞きはいいが話せない。他は自己紹介からどうぞ。
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