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日常/感想/二次創作小説※重要。小説へはカテゴリーの一覧から飛んでください。取扱CPはDRRR:臨静臨/APH:東西&味覚音痴/異説:78中心天気組/黒バス:赤降赤/VGユニット:騎士団航空海軍他。DRRRは情報屋左推奨中。TV小説漫画DVD所有。APHは東西LOVE独語専攻中。漫画全巻CD原作柄所持TV二期迄。異説はもう天気組愛。原作は7のみ。コンピ把握。81012は動画攻略wiki勉強。究極本厨。赤降気味でリバOK。VG擬人化フレイム・サンダー辺りとか。コメント・誤字指摘歓迎します!!転載とかはご遠慮願います。
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2024/04/30 (Tue) 18:41:13

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No.105
2011/06/04 (Sat) 14:54:09

pixiv投稿作品二つ目。
獅子が雲の世界にやってきましたって話の冒頭です。続きは構想ができたら。
他サイト様のを見て、あ、これもいいなぁって登場があって悩んでます。

 

 突然視界が暗転したかと思えば、今度は呼吸が奪われかけた。しかしそれも一瞬のことで、次に目を開けた時には浅く薄暗い水面に自分の顔が映っていた。ぱたぱたと濡れた毛先からしずくが落ちるあたり、自分の服が完全に濡れてしまっているあたり、自分はどうやらこの泉に落ちたらしい。しかし水面に接触した感触がなかったのが不思議でならない。じゃあどうして自分はこの泉の中に立っているのだろうか。
 顔にまとわりつく髪を手で掻き上げて後ろに流し、周りに目を向けた。
 ――― どこだ、ここは
どこかの廃虚、教会、だろうと推測される建物だった。建っているのが不思議なくらい内装は酷いものだった。柱は折れ、屋根は穴が開いて陽の光が差していた。辛うじてステンドグラスは無事のようだった。光を通して輝いていた。
 自分は任務に出ていたはずではなかったか。そこでスコールははっとして自分の手を見た。
 ――― ッ……ガンブレードは?!
寸前まで手にしていたはずの武器が見当たらない。慌てて視線を足元に下ろして、ほっと息を吐いた。自分の足下に沈んでいた。拾い上げて泉から上がり、急いで水抜きの作業を始めた。道具も腰のバッグに入れて常備していたので、すぐに作業にかかることができた。刀身と銃の部分を外し、更にリボルバーやグリップなど細部を分解していく。案の定、装填していた弾は駄目になってしまっていた。予備はケースに入れて鞄に仕舞ってあるものと、脚のホルスターに入れてあるものだけとなった。
 完全に乾くまで、とはいかなかったがある程度水が抜けたところでスコールは再度組み立て直した。水も綺麗なものだったようで、ガンブレードの汚れまで落ちていた。起ち上がって軽く振り、滴が落ちなくなったのを確認して、止まった。さてこれからどうしようか。そもそも一体ここはどこなのか。不用意に動くのは避けたいが、今は動かざるを得ない。スコールは開きっぱなしだったドアから外に出た。
 目に入ってきた景色に、思わず息をのんだ。
 ――― 何だ
敗戦場の跡地の様だ、と思った。ガーデンからは程遠い光景だった。瓦礫はそのままだし、建物もどこか歪で、無機質だった。
 すると、こちらに向かってくる子供がいた。少年と少女。彼らの所作と景色はあまりに似つかわしくなかった。少女は手に花束を持っており、その少し後ろから少年と、更に後ろに黒い髪の女性と金髪の男性が続いていた。家族、と言えなくもないが、恐らく血縁は無い。男女が若すぎる。スコールは肩に担いでいた剣を下ろし、彼らから遠い方の手に持ち替えて歩き出した。
 しかしその男性に、スコールは見覚えがあった。実に忠実に再現されていた。ただ格好と雰囲気が違った。まさか、という感情が抑えられないが、下手に声をかけて間違えでもしたら後が大変だ。スコールは喉まで出かけた名前を押し込んで、その横を過ぎようと試みた。その男性が驚いた表情で自分を見ているにも関わらず。
「おい」
声まで同じとはまた現実性の高い。スコールは気にしながらも無視を決めて足を速めた。まさにすれ違わんとした際、腕を取られた。
「スコール・レオンハート……か?」
「クラウド?」
図らずも、女性が発した言葉は男性の名前だった。スコールは男性の顔を見て、確証を得た。青とも緑ともとれない不思議な色をした目が自分を見ていた。自分の名前を知っている人物の中にそんな目を持ったのは一人だけだ。
 かつん、とガンブレードの先が地面についた。
「クラウド・ストライフ、か?」
「あぁ」
その返事に、スコールは心中で舌打ちをした。何ということだ。自分が今どういう状況にあるのか、原因こそ不明だが大方理解した。むしろ、クラウドの方が疑問が上がっているようだった。何から尋ねるべきなのか困惑しているように見えた。
「知り合い?」
「あぁ、少しな」
クラウドは言葉を濁した。まさか異世界で世界を救うために共闘しましたなんて話、言ったところで信じてもらえるわけがないだろう。
 そんな彼を察してか、女性は特に聞くことなく、踵を返した。
「先行ってるね」
「分かった」
 
 
 
 
 
「どうしてここにいるんだ?」
「さぁな。俺にも理解できない」
訊きたいのはこっちだ。スコールは腕を組んで教会の扉に凭れ掛かった。少女が誰かに話しかけている。死んだ人間にでも話しているのだろうか。その後ろを、黒い髪の女性が見守っていた。
「他の奴らは?」
教会の内側の壁に背を預けて、クラウドは尋ねた。彼の視線もまた、少女の方に向けられていた。
「知らん。おれはついさっき、あの水たまりから出てきたんだ」
「!」
思い当たる節があるのかそれとも可能性を探っているのか。クラウドは神妙な顔つきで黙り込んだ。
 スコールは後で聞こうと気に留めて置き、今最も尋ねたいことを口に出した。
「ここはどこだ?」
「あぁ、ミッドガル。俺のいる世界だ」
そういうクラウドの声は淡々としていた。別段悲観しているわけでもないが、喜んで紹介しているようには到底聞こえない。どう考えても文明の程度は自分と変わらないと考えていたのに、いや実際ほとんど変わらないのだろうが、これは荒廃しかけているのだろうか。果たしてそれは人為的戦争によるものなのか、モンスターの仕業か、自分の世界にいるような魔女の陰謀か。
 推測の末、スコールは独り言のように呟いた。
「何が、あったんだ?」
その言葉に、クラウドは布に隠れた方の腕を掴んだ。
「……話すと、長くなる」
あの世界の関係を考えれば、このありさまにかの過去の英雄が関わってるのは間違いないだろう。
「復興は進んでいるのか?」
「少しずつな」
「そうか」
安心したわけではないが、少しだけ気が楽になった気がした。他の世界といえども、この光景はいい気がしなかった。
「意外と冷静だな」
感心したようにクラウドが言った。
「帰る手段が不明な以上感情的になっても無駄だろう。それに、」
スコールはやや間を開けて続けた。
「少なくとも、知り合いがいない世界じゃないからな」
「そうか」
「クラウド」
不意に少女が呼んだ。クラウドは笑みを浮かべて、壁に立てかけていたフェンリルを腰に下げた。
「暫く家にいるといい」
「……できる限りのことをしよう」
スコールの返しに、クラウドは苦笑を漏らした。
「偶には大人に頼ってみたらどうだ?それとも傭兵なら取引の方がいいか?」
「……あんた、性格変わったな」
「色々あったんだ」
そう言って歩いていくクラウドの背を、スコールは追った。
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獅子えり
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大学生
自己紹介:
日本の真ん中あたりの都市に住処有。最近有名になった大学に在学。ドイツ語専攻中。ゲームは日常の栄養剤。小説書くのは妄想を形に(笑)本自体が好きという説明しがたく理解されにくいものを持っている。横文字は間違える。漢字は得意な方。英語は読み聞きはいいが話せない。他は自己紹介からどうぞ。
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