pixivにも投稿しました。学パロだけど世界ごっちゃで上官クラウドの家に遊びに行く部下スコール&ティーダです。
余談がほんのちょっと追加されてます。たぶんまた書き直して再登校しているかも知れません。
11/06/13大幅修正
以下は読んでも読まなくても基本OKですが、結構無茶してるところがあるので。
[各種設定]
FF7の世界ベースに、FF8の傭兵学校的なものを組み合わせた感じ。でもブリッツボールもあるし、王国もある。要は広い世界。
[登場人物設定]
クラウド
傭兵というか士官学校的なところ卒業してそのまま上官として後輩兼部下の面倒を見ている。休日の私服は個人的都合によりクラウディウルフ仕様。そのうちソルジャーの試験受けるつもりでいる。
ティーダ
学校の生徒兼クラウドの部下。ブリッツボール部所属。家を出て寮に入った理由は多分父親が原因。アーロンとは結構な頻度で連絡取ってたりする。英雄のファンという後付け。
スコール
学校の生徒兼クラウドの部下。ライトニング先生のガンブレード講座が好き。クラウザー上官とその部下トライバルによく絡まれる。ソルジャーに対してはそれなりに憧れはある。
セフィロス
CCFF7の英雄仕様。でも実際一番キャラが私のせいでずれちゃった人。できることとできないことが複雑に極端。紅茶をうまく入れれる癖に洗濯できないとか。
ザックス
セフィロスと一緒の任務が多い。同居のきっかけだったりする。家事全般できる今時人気の男性。クラウドは弟のように、もはやブラコンの域にまで達している。
セフィロスには便宜上の姓として「クレシェンド」とついています。「宝条」はないとおもったので。
昼食時のことだった。いつものように食堂の窓際の見晴らしの良い席を陣取って、クラウドは一人黙々とパスタを咀嚼していた。折角の四人席だが、向かいの二席は空いたまま、隣の席には鞄が置かれていた。秀麗な顔つきをしたものはいつだって人の視線を集める。あの向かいの席に、ぜひ座りたい。けれど接点もなければ、声をかける勇気もない。そんな女性たちの視線に全く見向きも気にさえもせず、クラウドは手元の液晶をじっと眺めていた。そこには先日の鉄道を狙った爆破テロの解決の様子が映し出されていた。それは食堂の液晶でも流れており、そこでは解決に導いた当人たちではなく、彼らを雇用している社長がインタビューに答えていた。まだ顔の良い男が喋っているだけましだろう。先代だったら皆嫌な顔をしていたに違いない。空になった皿の上にスプーンとフォークを置いて、クラウドはコーヒーに手を伸ばした。
「前良いっすか?」
カップに口を付けたまま、クラウドは見上げた。するとそこには後輩兼部下が二人、ティーダとスコールがトレーを持って居た。ティーダの方はすでにトレーをテーブルに置いて椅子に座ろうとしていた。それなら断りを入れるなと心中で言い返しながら、律儀にも返事を待つスコールにクラウドは声をかけた。
「別に構わない」
そう言えば、スコールは素直に座った。彼のトレーに乗ったものを見た瞬間、クラウドは溜息をついた。
「何かあったのか?」
どう見ても食べるのが面倒だと言わんばかりの食べ物とコーヒーだけだった。自覚がないあたり面倒だ。
「昼食ぐらいちゃんと摂れ」
「俺もそう言ったんだけどさー」
フォークでサラダをつつきながらティーダは言った。
「栄養に偏りはない。それにティーダが薦めるものはどれも重いものばかりだ」
食べられないわけではないが、あえて選ぶ必要もない。まぁこんなところだろうな、とクラウドは推測した。しかし十七歳がそれでどうする。
「栄養どうのじゃなくて、食べることを楽しめって言いたいんだ」
クラウドはスコールの額を指で弾いた。意外な攻撃にスコールは目を見開いたが、善処する、と小さな声で言った。絶対聞く気はないな、と思いながらも流すことにした。
「それで、今日はクラウドにお願いがあってきたんっすよ!」
「いきなり何だ」
空になったカップをソーサーに戻して、クラウドは椅子の背に凭れた。
「今度遊びに行ってもいいっすか?」
「どこに?」
わざわざ俺に許可を求める必要はないだろう、と投げやりに返してしまった。しかし気にすることなくティーダは続けた。
「クラウドの家っす」
「……どうして俺の家に来たいんだ?」
それは確かに許可がいるなと思いながら、同時に、なぜおれの家なんかに、とクラウドは考えた。
「だって、自宅通学ってあんまいないし、何より興味ある!」
瞳を輝かせて言うティーダから視線を逸らして、スコールの方を見た。
「あんたもか?」
「別に俺は興味はない、が、一日中横で文句言われ続けられればこちらが妥協せざるを得ないだろう」
スコールはその時のことを思い出してか、眉間の皺を深くした。指が何度も何かを突く動作をしているときは、相当に苛立っているときの、スコールの癖だった。今も現に机を叩いていた。手袋をしているのもあり、音は気になるほど鳴っていない。
まぁ、友人の一人や二人、どうってことないだろう。クラウドは頷いた。
「まぁ、相談してみてやる」
「相談?誰かと一緒に住んでるのか?」
「あぁ、まぁな」
しまった。同居人について一切話していなかった。クラウドははっとしてティーダの方を見たが、特に誰とは気にしていないようだった。
「じゃ、よろしくっす!」
数日後、了承を得たとクラウドの方から連絡があった。その表情はどことなく疲れているように見えたが、言及すると、大丈夫だ、の一言で済まされた。ポケットから一枚のメモ紙を出して、それをスコールに手渡した。開いて見ればそれは手書きの地図だった。定規で引いたような直線だけのものだったが、一緒に書かれた住所を見て納得した。ミッドガルの中央部は非常に区画整理が進んでおり、街中なら郵便番号なしに何番街の何番で郵便物がすべて届く。一番街と言ったら、本当に中心街だ。相当に良い場所に住んでいるようだとスコールは地図を黙って見たまま思った。
約束の土曜日となり、ティーダとスコールは外出届を出して寮を出た。休日ともあって表の大通りに面した中心街は人であふれかえり、非常に賑わっていた。道を一本裏に入ると、豪邸という言葉が非常に似合う家がずらりと並んでいた。その光景に場所を間違えたかと、ティーダはスコールを見るが、あっている、と首を振った。
「この通りの、七番だ」
「七番っすね」
最初に入ったところの家の塀に『一』とくすんだ金色のプレートが貼ってあった。そこから家を数えて七件目。一個の家が大きいため数字の割に意外と時間がかかった。『七』のプレートの前で立ち止まって、二人はその家を見た。
「ここが、いや、これが……」
――― クラウドの家、か
他の家に比べると居住用の建物は凝ったデザインだが、サイズは控えめだった。しかし他の家に比べてとにかく庭が広かった。実際、庭は建物の奥にあるのだが、その奥の塀が遠い。目測だが、クラウドの剣を振り回して模擬戦をしても、十分ではないだろうか。
本当にここだよな、とティーダとスコールは何度も地図を見直すが、間違いはどこにもなかった。いっそ誰かに聞いて事実と受け止めるか、とティーダが思ったところだった。
「ウチに何か用か?」
突然背後から声をかけられ、二人は同時に振り向いた。本当に、突然だった。彼らも戦闘を積んだ者であったが、彼の気配に全く気付かなかった。
背後にはノースリーブのニットを着た、ある既視感を感じさせる男が立っていた。黒い髪は重力に逆らって跳ねていた。その背には大剣が背負われ、片手は腰に当てられ、空いた手には来る途中に見かけたスーパーの袋が提げられていた。その袋だけが異質だった。
そして彼の眼は、完全に疑わしいものに向けられる視線だった。その雰囲気に少し身を引いたが、引き下がる理由もない。
「俺達は、クラウドに用があって」
そう言って、スコールは学生証を見せた。これなら文句も言われないだろう。ティーダも倣うようにそれを差し出した。男はじーっとそのカードを見つめていたが、やがてその意味を理解すると、途端に声の調子から態度から、すべてが変わった。
「あぁ!お前らクラウドの部下か!」
途端に人懐っこい笑顔を向け、「そうか、あいつも成長したんだな」と独り言を言いながら頷いていた。そのあまりの変わりようにティーダもスコールも驚きが隠せなかった。半ば呆然としているところ、いきなり肩に腕を回され、強引に門前へと推し進められた。
「ささっ、入った入った!」
すると勝手に門が開いた。住人に反応するタイプだったようで、重々しい見た目に全く合わない滑らかな動きで三人を迎え入れた。
――― なぁ、スコール。この人ってさ。
肩を押されて足を進める中、ティーダはスコールの方を見た。すると向こうも言いたいことがあったようで、視線あった。
――― あぁ、間違いないだろう。
スコールは確信をもって頷いた。
彼は、ついこの間食堂の、爆破テロ解決の現場のシーンで映っていたじゃないか。全くその事実に気付かなかった。
――― 『ザックス・フェアじゃないか!』
そのまま建物を突っ切って、庭に案内された。案の定、庭は広かった。建物に近いところにはオープンカフェを思わせる白いウッドデッキに、同じ色をしたテーブルとチェアが置かれ、手入れの行き届いた花が周りを飾っていた。ザックスは二人をそこに連れて行った。肩を押して座らせると、大きなベランダの窓を開けて中に入って行った。
「今クラウド呼んでくっから!」
それを呆然と見送って静かになったところで、ティーダとスコールの肩の力はふっと抜けた。そして同時に溜息も出た。ティーダは髪を掻きまわし、スコールは顔に手を当てた。
「……なんなんっすかここ!」
「俺に聞くな」
あまりに想像やら現実やらから離れすぎていた。まさか出迎えとは言いにくいが、ザックス・フェアに遭遇するとは思わなかった。しかもここは彼の住居らしいことも分かった。どことなく不思議な雰囲気を持っていた上司が、ここまで斜め上を行くとは思ってもいなかった。
彼があの同居人か。スコールはぼんやりと思った。しかしそうなると少々不自然が残る。今自分たちが座っているテーブルにはチェアが三つある。大抵この手のものは二つセットか、四つセットが多いものではないだろうか。そこをあえて三つと言うことは、他にもう一人同居人がいるのだろうか。
この推測は間をおかず、的を射た。
「茶でも飲むか?」
聞こえてきた台詞に、何だ、ハウスキーパーか、と軽い気持ちだった。同居人のことを考えれば不自然でもなんでもない、とスコールは自己完結した。
「あぁ、……」
「ありが……」
見上げて、またしても二人は固まった。
長い銀髪を緩くまとめた男性がティーカップとポットの乗ったトレーを持って立っていた。なじみ深い黒いコートではなく、白いシャツに黒いズボンとシンプルな格好だったが、間違えるはずがない。
なぜ、『英雄』がここにいるのか。そして紅茶を給仕しているのか。
「え?ちょ、何でサー・クレシェンドが?」
がたん、とティーダはチェアから立ち上がった。そんな反応もしたくなるのは彼が、セフィロスが英雄として世界全体から称賛され、かつ自分たちの学校でも尊敬する人十年連続第一位であるからだ。
そんな反応にはすでに慣れてしまっているので、セフィロスはマイペースに紅茶を注ぐと、二人の前に置いた。
「クラウドが部下を連れてくると聞いたからな。あれは内向的なせいで社交が不得手だから、聞いたときは驚いた」
「あー、確かにそうっすね」
お前が答えるところか、とスコールは心中でティーダに突っ込みながら、突然の状況を処理すべくフル稼働する己の嗜好を整理するために紅茶に手を伸ばした。その温かさに気分が少しだけ落ち着いた。
ティーダとセフィロスが、どう見ても子どもと親のやり取りにしか見えない会話を繰り広げていると、ベランダの戸が荒々しく開いた。見れば、軽く息を切らしたクラウドと、苦笑しているザックスが立っていた。ばさばさと腰に半分だけ巻いた布を翻しながら階段を下ってデッキに降りてきた。
「すまない、バイクの改造に集中していた」
ところどころ服に色の濃い部分があるのは、顔や手に付いた汚れを洗ってきたのだろう。
「お前らしいな」
そう言ってセフィロスはチェアから立ち上がって席を開けた。
クラウドは視線をセフィロス、それからザックスに移して、手を軽く振った。
「あんたたちはもういいから、中で休んでいろ」
「えー、俺達も話したい!」
「明け方まで任務だっただろう。それに今夜には次に向けて出発なんだってな」
「行くぞ」
その場に残ろうとあれこれクラウドに言うザックスの後ろ襟首を、セフィロスは掴んで引っ張った。
「ちょ、セフィロス!首締まるから引っ張るな!」
引きずられそうになったことで崩れかけた体勢を慌てて直して、ザックスはセフィロスに続いて建物に入って行った。
その様子を見送って、クラウドは軽く息を吐いた。
「……いろいろ、聞きたいことあるだろう」
「「当然!」」
待ってましたと言わんばかりに、ティーダとスコールは同時に叫んだ。この後予想される質問攻めに、隠さずに先に説明しておくべきだったな、とクラウドは思った。
余談
ティーダ「どこで知り合ったんっすか?」
クラウド「セフィロスに関しては、簡潔に言えば、俺の両親が、まぁもうこの世にはいないが、新羅カンパニーで医療スタッフとして働いていた時にセフィロスの面倒を見ていたらしくて、その恩返しだとか言って新羅に入社しようとしていた俺を引き取ったんだ。実質親みたいなものだな」
ティーダ「ザックスとは?」
クラウド「俺の上官で一緒に任務に就いた時に、同じ田舎者同士だって気が合って……それからずっと友達だ。あとこの家はセフィロスとザックスが一緒に仕事するようになってから買った家だ」
スコール「独立はしないのか?」
クラウド「しないわけじゃない。できないんだ」
ティーダ「何で?」
ティーダ「……無理っす」
スコール「無理だな」
愛されクラウド(笑)弟みたいな感じで。
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