忍者ブログ
AdminWriteComment
日常/感想/二次創作小説※重要。小説へはカテゴリーの一覧から飛んでください。取扱CPはDRRR:臨静臨/APH:東西&味覚音痴/異説:78中心天気組/黒バス:赤降赤/VGユニット:騎士団航空海軍他。DRRRは情報屋左推奨中。TV小説漫画DVD所有。APHは東西LOVE独語専攻中。漫画全巻CD原作柄所持TV二期迄。異説はもう天気組愛。原作は7のみ。コンピ把握。81012は動画攻略wiki勉強。究極本厨。赤降気味でリバOK。VG擬人化フレイム・サンダー辺りとか。コメント・誤字指摘歓迎します!!転載とかはご遠慮願います。
No.
2024/05/01 (Wed) 02:39:42

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

No.145
2012/01/07 (Sat) 22:14:29

 会議後の生徒会室は閑散としていた。会議中の騒がしさが嘘のように消え去り、縦長の大きな窓からさす西日がなんとも言えない穏やかな雰囲気を醸し出していた。デスクに残っている紙の山はほとんどが廃棄されるべき古紙であり、必要な紙はすでに目を通し、棚にずらりと並んだファイルの中に納められていた。
その室内で、アーサーは一人、窓際に座り紅茶を楽しんでいた。彼にとってこの時間は至福の一時であった。騒がしい弟もいなければ、何かと突っかかってくる幼馴染もいない。さくり、と別の学部の友人から貰った市販のクッキーをかじった。
向かいのだれも座っていない椅子の前には、カップの伏せられたソーサーが一式、その横にはクッキーの乗った皿が置いてあった。これらは、これから来るであろう生徒のために用意されたものであった。
紅茶を啜りながらちらりと時計を見やれば、五時一分前。同時に、外の廊下に足音が響き始めた。

そして長針が一歩進んだ瞬間、ドアが開いた。

「よぉ、邪魔するぜ」

ノックもなしに入ってきたのはギルベルトだった。短い銀髪をかきあげながら、かつかつと近づき、アーサーの前の椅子に座った。そして皿に乗ったクッキーを一枚掴んで一言。

「…今日は市販品かよ」

ティーカップをひっくり返し、紅茶を注ぎながら、アーサーは言った。
「悪かったな。忘れたんだ」

暖かい紅茶はふわりと湯気を立てながら、ギルベルトの前に置かれた。品の良い香りが鼻をくすぐった。

「その分、紅茶はいい葉にしてある」
「いい葉なら、いい菓子も必要だろが」

そういってにやりと笑ったギルベルトは、鞄とは別に持っていた紙袋をテーブルの上に置いた。その中から出された箱は簡素な茶色の箱だった。

「何だ?それ」
「ふふん、“いい菓子”だ」

しかし、いい菓子というにはラッピングが安すぎだった。リボンもデザインも何もない、どこにでも売っていそうな安物のラッピングだった。
だが箱を開ければ、そこにはきれいな焼き色をした小ぶりのケーキが二きれおさめられていた。飾りもクリームもない質素なケーキだったが、アーサーは笑みをこぼした。

「お前が作ったのか」
「まーな。いっつも作ってもらってばかりじゃつまんねーしよ」

アーサーはデスクの引き出しから円形の紙ナプキンを二枚と輪ゴムを取り出した。そして皿に乗っていたクッキーをナプキンで包みその口を輪ゴムで縛り、テーブルの端によけた。ギルベルトはそのあいた皿にケーキを乗せた。

「っと、フォークも必要だな」
「ぬかりはないぜ」

そういって、ギルベルトは紙袋から、先を紙で巻かれたフォークを二本出した。


それを受け取り、アーサーはケーキを一口口に入れた。

「…ん、うまいな」
「当たり前だ」

ギルベルトはカップを口につけ、一口すすった。

「お、確かにいいな。これ」
「俺のとっておきだ」

口の端を吊り上げ、アーサーはもう一口、紅茶を飲んだ。

「さすが、紅茶にうるさいカークランド会長様だな」
「紅茶は紳士のたしなみだ」

その言葉に思わず吹き、フォークをくるくると振りながら、ギルベルトは返した。

「料理は、まだまだだけどな」
「…うるさい」

こうして、今日も静かにお茶会は続いた。

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
≪Mauer  | HOME |  無駄な防衛線≫
[150]  [149]  [148]  [147]  [146]  [145]  [144]  [136]  [141]  [140]  [139
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
twitter
プロフィール
HN:
獅子えり
性別:
女性
職業:
大学生
自己紹介:
日本の真ん中あたりの都市に住処有。最近有名になった大学に在学。ドイツ語専攻中。ゲームは日常の栄養剤。小説書くのは妄想を形に(笑)本自体が好きという説明しがたく理解されにくいものを持っている。横文字は間違える。漢字は得意な方。英語は読み聞きはいいが話せない。他は自己紹介からどうぞ。
カウンター
バーコード
忍者ブログ [PR]