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日常/感想/二次創作小説※重要。小説へはカテゴリーの一覧から飛んでください。取扱CPはDRRR:臨静臨/APH:東西&味覚音痴/異説:78中心天気組/黒バス:赤降赤/VGユニット:騎士団航空海軍他。DRRRは情報屋左推奨中。TV小説漫画DVD所有。APHは東西LOVE独語専攻中。漫画全巻CD原作柄所持TV二期迄。異説はもう天気組愛。原作は7のみ。コンピ把握。81012は動画攻略wiki勉強。究極本厨。赤降気味でリバOK。VG擬人化フレイム・サンダー辺りとか。コメント・誤字指摘歓迎します!!転載とかはご遠慮願います。
No.
2024/11/21 (Thu) 20:49:58

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No.149
2012/01/07 (Sat) 22:21:23

教師、医者に続き、大好きな軍隊パロ。
若干暗めの話。

――― あー、もう、最悪だ
折原臨也は無残にも破壊され、鉄筋が露見してしまっているビルの、運良く残っていた基礎部分の陰に身を滑り込ませた。耳を澄まさなくても聞こえてくるのは乾いた破裂音と断続的な射撃音そして派手な爆発音。止むことのない砂煙と火薬と、死体の臭い。

彼が今いるのは、紛うことない、戦場だった。

もともと、臨也は軍の諜報部隊出身であった。任務遂行率は九割を超え、獲得してくる情報も有益で、軍部内では絶大な信頼を得ていた。社交性にも優れ、いずれは上層部に上り詰め軍を動かしていくだろうと思われていた。しかし八方美人な立ち振る舞いが不興を買い、こうして戦地の最前線へ赴く実戦部隊へと転属させられた。それ自体に関しては何も思っていなかった。実践は士官学校時代から得意分野であったし、生死のやり取りに対して平均少し下の恐怖がある程度だ。そんな彼が何より苛立って仕方がなかったことはある一点のみであった。

ビルの陰から敵兵の様子を窺っていたところ、不意に背後から肩を叩かれた。反射的にナイフを振り上げたのだが、黒い手袋一枚付けた手で刃先を掴まれ、そこまでだった。
「生きてたか」
その声を聴いて、臨也はナイフに込めていた力をふっと抜いた。同時に手も離され、ナイフを袖口に仕舞った。
平和島静雄であった。服はところどころ裂け、砂や泥による汚れはあるが、致命傷は負っていなかった。
「何だ、シズちゃんか」
臨也はその場に腰を下ろし、長い息を吐いた。臨也の苛立って仕方のない点である。
ことあるごとに、静雄と同じ戦場に駆り出されるのである。士官時代からの仇敵であることは上層部も知っているはずの事実である。なのに、こうして同じ場所で戦い、互いを助け合う状況にある。そしてそんな状況に、臨也は諦めという名の慣れを感じ始めていた。
最初の内は実際の敵よりもお互いを敵とみなして殺しあった。先に変化が訪れたのは静雄の方だった。臨也を見ては何度も青筋を立てていたが、次第にその矛先を無理矢理敵に向けていった。その変化に気付かない臨也ではなかったので、苛立ちを感じつつも敵を倒すことに意識を向けるようになっていた。
「戦況は」
「まるで駄目だね」
静雄の問いに対し、嘲笑し吐き捨てるように答えた。
「陣営の配置は最悪。人員は不足。連携も不可能。物資の調達も間に合わなかった。途中で爆破されたよ。俺は他の奴らはさっさと帰しちゃった」
一緒に動いてても邪魔なだけだから。そう付け加えた。
「そういう君はどうなんだい?」
「……とりあえず隊を二、三ぶっ壊して、戦車もいくつか壊してきた」
「さすが」
しかしそう言った静雄の表情は暗かった。
静雄が所属する特殊戦闘部隊に、彼以外の兵士はいない。そこはいわば軍内で人外扱いされた強い兵士たちの行き先であった。静雄は軍に入ってすぐ、ここに配属された。階級はない。寂しい隊番号が与えられるだけである。
――― まぁ、この作戦は敵の殲滅じゃないからね。
臨也は盗聴器を仕掛けた戦略会議の様子を思い出した。



*   *   *



野戦用に張られた薄暗いテントの中、作戦隊長の准将とその取り巻きたちは話し合っていた。そこに緊張感はなく、むしろ変に和やかな雰囲気だった。元諜報部隊の臨也が聞いているとも知らず、彼らは気を抜いて本心を吐き出していた。要約すれば、今回の戦闘はすでに負け戦であること、そして目的が、平和島静雄の「処分」であること。
これを聞いたとき、臨也は素直に驚いた。主観なしに今までの戦績を考慮すると、彼を失うのは軍にとって大きな損失になるだろう。しかしこの意見は容易に想像ができる。特殊戦闘部隊のその兵器性としての強さは皆認めるところだったが、彼らと一緒に任務にあたるとなると話は別のようで、必ずといっていいほど個人任務が与えられる。要は一緒に行動したくないのだ。末端の兵士たちはただ強い便利な奴がいるぐらいにしか考えておらず、恐怖もあるのだろうがそれを無理にでも隠して友好的な態度をとっていた。彼らの方がよほど優秀に感じた。
これはとんだ拾いものである。臨也はイヤホンを外し、レコーダーはそのままにしてテントの外に出た。そして静かな明莉のともる野戦用テントを順番に、丁寧に訪問していった。



*   *   *



銃声が止んだ。しかし敵兵の足音や戦車のキャタピラが鳴らす音は止まない。こちら側の残党を探しているようだった。
不意に臨也が胸ポケットに入れていた無線機に音が入った。引き上げの合図である。
「やっとか……」
「遅すぎ」
しかし静雄の無線は反応していなかった。それを特に静雄は気にすることは無かった。むしろ、気にもかけていなかっただろう。それは臨也の想定の内だった。向こうはおそらく自分と静雄が一緒にいることには気づいていない。
「走るぞ」
「言われなくとも」
まぁ、帰っても君の居場所はないと思うけどね。
その言葉は言わずに、袖口とブーツの内側にナイフを隠していることを確認して、臨也は静雄の後を追った。

基地までは直線で数キロメートル。疲弊した体には酷だが走れない距離ではない。盾となる瓦礫の多い道を選択し、周りに注意を払いながら二人は走った。戦場となった街の様子は酷いものだった。無事な建物は一つとない。辛うじてバランスを保って立っているビルはあるが、ふとした拍子に壊れかねない。舗装されていた道はアスファルトがはがれ、砂の地面が露わになり煙っていた。ところどころ、瓦礫には赤黒い飛沫が散っていた。横転したらしい戦車からはガソリンが漏れ、いつ引火するともわからない。先ほどまでの轟音のせいで静けさを感じた。気持ち悪いぐらいの静けさだった。敵方の戦車のエンジンが遠い。いや実際はそんなに遠くないのだろうが、轟音で耳がやられているのかもしれない。
途中ライフルを持った敵の一団を見つけ、二人は瓦礫に身を隠した。勘のいいやつだったようで、二、三発先ほどまでいた場所に発砲された。しかしそれ以上はなく、彼らは周りを警戒しながら歩いて行った。
「危なかったな……」
「やるねー」
瓦礫から様子を覗うと、再度二人は駆けだした。

何事もなく基地にたどり着けるとは思っていないがとにかく走れるだけ走った。静雄も同じ考えのようで、まわりを確認しながらも走ることに集中していた。
途中、臨也は脇を見て目を見開いた。
「!」
鉄筋がむき出しになったビルの上、こちらを見て銃を構えている軍人がいた。纏う服は自軍の兵士のもの。そしてその照準は自分を捉えていなかった。赤いレーザスコープが静雄へと蛇行した。
思わず踏み込み、前を走る静雄を突き飛ばした。
「ッ!」
突然押され、静雄はバランスを崩して前に傾き、瓦礫の陰に滑り入った。直後、地面が爆ぜる音が鳴った。銃声はない。サイレンサーだった。臨也はすぐに態勢を立て直し、自作の爆薬を投げつけた。外すとは思っていなかった軍人は反応が遅れ、そのまま爆発に巻き込まれた。殺人用ではないので殺傷能力は低いが、気の立った軍人を驚かすには十分だった。
突き飛ばされた静雄は起き上がると、振り返って臨也の方を見た。
「なにしやが」
「走れ!」
その突然の大きな声に静雄は抗議の言葉を飲み込み、走り出した。その後を臨也は追った。これで自分が彼らに背いたことは確実に伝わる。
「こっち!」
真っ直ぐ正直に基地に戻ろうとする静雄の腕を引き、臨也は道をそれた。
「おい、そっちじゃねえだろ」
「いいから来る!」
ちらりと上を見上げると、先ほどの兵士が再度銃を構えていた。思ったより早かったな。臨也は舌打ちをすると、静雄の方を見た。
静雄は臨也と同様、先ほどまで上を見ていたようだった。下を向いたその顔は驚いていたが、わずかに納得したような諦観も含んでいた。
銃声に追われるように、二人は戦場を駆けた。



*   *   *



夜。
ついに基地に戻ることは無かった。静雄は臨也に引かれながら荒廃した建物の中に入った。そこにはブランケットや食料など自軍の配給物が置いてあった。臨也が用意したものだ。静雄は思った。戦場に似つかわしくない、穏やかな時間だった。お互い無言のまま、月の光が差す廃墟を眺めた。恐らくもともと解体予定の建物だったのだろう。コンクリートの柱が立つだけで、机も椅子も何もなかった。
臨也はそうだと言わんばかりに立ち上がり、置いていた機材を組み立て、ヘッドフォンを耳に掛けた。するとノイズ交じりに音声が入ってきた。どうやら基地に残してきた盗聴器はまだ見つかっていないようだった。会議室の中は静雄の生存と自分の謀反に慌てていた。謀反の相手が臨也でなければここまで大事にはならなかっただろう。
「基地には帰れそうにないね」
ヘッドフォンを外して、臨也は言った。
「……」
静雄は壁際に寄り、肩からブランケットをかけ、俯いていた。
「あいつ、味方だったよな」
「うん。第八部隊の隊長だ」
臨也は淡々と答えた。彼は軍によく従い、また静雄にも比較的友好的だった。これが最悪の関係で、お互い嫌悪しかなかったらどんなに良かっただろうか。彼はどんな気持ちで静雄をスコープの先から見ていたのだろうか。仲間か。人間か。化け物か。それは臨也もあずかり知らぬところだった。
静雄は膝を額によせ、長い息を吐いた。
「絶望した?」
臨也は静雄の横に腰を下ろし、静かに問いかけた。
「……お前は知ってたんだな」
静雄は自分が被っているブランケットや食料の入った荷物を見て言った。用意が周到すぎた。確実でない限り、こんな無駄なことはしないだろう。
「盗聴器をちょっと置いておいたんだよ」
人に使われるのって心底嫌いだからさ。
臨也は口元に笑みを浮かべながら言った。
「それに、他人の都合でシズちゃんが死ぬのは嫌だから」
同時に、遠くで爆発音がした。
「なっ!」
思わず静雄は立ち上がった。その爆音は自分たちの陣地の方向からだった。あわてて廃墟から駆け出して見れば、自分たちの基地は煌々と明るかった。
「お前!」
そして激情に任せ、静雄の後を追ってきた臨也の胸倉を掴んだ。「別に俺は悪いことはしていないよ?」
肩をすくめ、臨也は静雄の手に手を重ねた。
「軍の大事な兵器を壊そうとした反逆者を粛清しましたって言っちゃえば良いんだから」
そう言って、臨也はレコーダーを振った。恐らく今回の作戦会議の音声が入っているのだろう。しかしそんな上層たちのことはどうでもよかった。静雄にとって心配だったのは彼らに動かされている側の人間たちだった。
「下の奴らは関係ないだろ!」
「彼らは、まぁ逃げれば大丈夫なんじゃない?」
あくまで臨也は冷静だった。静雄はその態度にさらに神経を逆撫でされたが、踏みとどまった。
「死にたくなければ一時に荷物持って集合ってことで十キロ離れた山間を集合場所にしておいたから」
「……」
静雄は手を離し、数歩下がった。
「とりあえず今日はもう寝よう」
乱れた襟首を直しながら、臨也は静雄に目くばせをした。
廃墟に戻る臨也の背に、静雄は言った。
「お前、敵か?味方か?」
その言葉に臨也は足を止めた。
「俺は俺の味方だよ」
そう言って中に戻っていく背中が、静雄は果てしない不信感とともに、少しだけ頼もしく感じた。






付随。



廃墟は風通しが良かった。夜ともなれば気温も下がり、風も冷たく感じられた。臨也は冷えた指先をじっと眺めながら、傍で横になっている静雄の背を見た。規則正しく肩が上下していたが、寝てはいないようだった。臨也は静雄のすぐ横に寝転がった。少しだけ温かい感じがした。
すると体勢を変えようと、静雄は反対側を向いた。なぜかすぐ近くに呼吸音が聞こえ、静雄は目を開けた。すると、臨也と目があった。あまりに突然のことに静雄は頭がついていかなかった。鼻先十五センチほどに臨也がいた。
「……おい、何で」
「だって寒いの嫌だから」
何と自分勝手な。静雄は離れるために起き上がった。しかし臨也はすでに静雄の腰に手を回し、完全に寝る態勢に入っていた。まるで猫がじゃれつくように頭を擦りよせてきた。
「シズちゃんあったかーい…」
「は、な、れ、ろ」
そう言いながら臨也の頬に触れたのだが、それが異様に冷たかったため、振り払うに振り払えなくなった。そのまま凍え死んでしまえばいいのになんて思ったが、今回は借りがある。振り払うことを諦め、静雄は臨也に背を向けて横になった。背中に額が当たる感触があった。
「………本当、シズちゃんが人間だったらよかったのに」
小さな呟きだった。本音かどうかは図れない。
「……あぁ、俺も人間でありたかったよ」
静雄は自分の本音を語った。別に自分はあくまで人間だが、こんな膂力を持っていない人間でありたかった。
「早く戦争、終わんねーかな」
毎日戦場に駆り出されては精神がすり減る。怒りにまかせて力を奮うが、あとに残るのは虚無感と猜疑心だけだった。自分は何をしているのか。何のために。
背後から静かな呼吸音が聞こえ、静雄もそれに倣うように目を閉じた。

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獅子えり
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大学生
自己紹介:
日本の真ん中あたりの都市に住処有。最近有名になった大学に在学。ドイツ語専攻中。ゲームは日常の栄養剤。小説書くのは妄想を形に(笑)本自体が好きという説明しがたく理解されにくいものを持っている。横文字は間違える。漢字は得意な方。英語は読み聞きはいいが話せない。他は自己紹介からどうぞ。
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