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日常/感想/二次創作小説※重要。小説へはカテゴリーの一覧から飛んでください。取扱CPはDRRR:臨静臨/APH:東西&味覚音痴/異説:78中心天気組/黒バス:赤降赤/VGユニット:騎士団航空海軍他。DRRRは情報屋左推奨中。TV小説漫画DVD所有。APHは東西LOVE独語専攻中。漫画全巻CD原作柄所持TV二期迄。異説はもう天気組愛。原作は7のみ。コンピ把握。81012は動画攻略wiki勉強。究極本厨。赤降気味でリバOK。VG擬人化フレイム・サンダー辺りとか。コメント・誤字指摘歓迎します!!転載とかはご遠慮願います。
No.
2024/11/21 (Thu) 20:51:59

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No.177
2012/03/15 (Thu) 15:04:51

ひっさしぶりな更新……更新?
イザシズ書き出したらもっかい嵌りそう…ちょっと見直してこよう


 センター試験は、大事があったにもかかわらず上々の結果で終わった。むしろその大事のおかげで緊張することなく集中できたのかもしれない。自己採点の結果を伝えた時の母の喜びはすごかった。大学はAO入試や推薦入試以外で面接はほとんどないので滑り止めの私立のセンター利用は問題がなくなった。後は本試に臨むのみである。
 そして今日から急に担当が変わると連絡が入った。理由は分かりきっていたことだったので、静雄はいつものように部屋を片付けて椅子を用意して待っていた。すると、ドアがノックされた。返事を返しドアを開けると、そこには女性が立っていた。
「折原臨也の代理で来たのだけれど」
彼女を見て、静雄は体を強張らせた。「美人」とはまさしくこの人のためにある言葉だと静雄は思った。凛とした声までその容姿にぴったり合って、まさに完璧の一言だった。
 女性は室内に入ると、上着を脱いで用意されていた椅子に座った。上着はそのまま彼女のひざ掛けとなった。
「私は矢霧波江よ」
「……平和島、静雄です」
どことない威圧的な空気に、静雄は思わず従いかけた。もともと女性と関わりが少なかったこともあり、余計に緊張した。
 波江は鞄から臨也が使っていたものと同じノートを出した。
「で、今日は何を勉強するのかしら?」
「えっと、二次試験の対策で、英語をやろうかな、と」
静雄は波江に背を向け、机の横に置いていた鞄から問題集を取り出した。
「そんなに緊張しなくていいのだけれど」
「…すみません」
やはり気付かれていた。
「まぁ仕方のないことね。でもあんまり緊張されてるとこっちもやりにくいの」
「あぁ、はい」
しかし、その日は結局態度を改めることはできなかった。
 
 
 
   *   *   *
 
 
 
 高校の授業は、センター試験を過ぎてから短縮に入った。教室の席にも次第に空席が目立つようになり、人数が少ないときには授業という名目のゲームが行われた。
英語の変わった慣用句をチームになって考えたり、化学の時間には教員がカナダにオーロラを見に行った時の記録や皆既日食の記録を見た。数学や国語は、相変わらず過去問を用意されてひたすら打ち込むことになった。
 今日もそんな時間割が続いた授業後、静雄は家に帰らず、真っ直ぐ新宿の、臨也の事務所の方に向かった。聞きたいことがあるからだ。
 電車に乗っている人は、午前から比べれば少ないが、がら空きとも言えない。どの高校も同じように午前中のみになり、早々に推薦で決まった者、私立第一志望で受かった者たちは受験から解放されていた。一方で、静かに単語帳や塾のテキストにじっくりと目を通しているものもいる。他は、スーツを着た会社員を代表に社会人たちが立っていた。
 静雄は開いていた扉近くに立ち、鞄を足元に置いてぼんやりと外を眺めた。冬場独特の何とも言えない薄暗い曇り空が広がり、それがなんとなく自分の心境に重なっているように感じられた。
 池袋から新宿はさして遠くない。何度も通った道を記憶に従って、マンションまであっという間に着いた。
 ――― えっと、臨也の部屋は。
書き留めておいたメモを片手に部屋番号を入力していると、後ろから肩を叩かれた。振り返れば、指して驚くことの無い顔がいた。
「新羅」
「お見舞いかい?」
新羅は白衣を羽織っており、手にしている鞄は銀色のケースだった。そういえば、今日新羅は高校に来ていなかった。
「まぁ、な。お前は?」
「見ての通り、往診だよ」
あの怪我じゃきっと池袋まで来るのは車でもなきゃ大変だろうから仕方なく、とのことだ。新羅は慣れた手つきで操作していった。そうして自動ドアが開いたのはよかったが、静雄は名乗るのを忘れてしまっていた。まぁ、いいだろうとそのまま新羅の後を付いて行った。
 
 しかし、臨也にとっては良くなかったらしい。
「下で偶然会ってってててて」
「新羅、君のこといつか刺してもいいかな?」
笑顔でそう言っているが、臨也の手にはすでに折りたたまれたままのナイフが握られ、それを新羅の左肩に押し込んでいた。大した力は入っていないようだが、丁度関節を押しているようで、新羅は痛いと何度も嘆いた。
 静雄はというと、臨也の格好を見て顔を背け、笑いそうになるのを堪えていた。いつも黒いジーンズに黒いシャツの格好が、灰色のフードつきトレーナーと黒のハーフパンツに変わっているなんて思ってもいなかった。しかも足元に目を移せばウサギもどきが二羽静雄を見上げていた。似合う似合わない以前に、まったく予想がつかなかった。ジャージよりはいいかと思ったが、臨也がジャージを着ている様子を思い浮かべて更に笑いそうになった。
「何を想像しているのかな?ん?」
「いや!何でも!」
気付けば文字通り目の前に臨也の顔があり、思わず静雄は仰け反った。急に顔を近づけないでほしい。一気に高まってしまった鼓動を押さえようと、静雄は左胸を掴んだ。
「静雄、おいていくよー」
「あ、あぁ」
というのが、玄関先でのやり取りだった。
 室内は程よい暖房が効いており、静雄は羽織っていたコートとジャケットを脱いでソファの背ににかけた。新羅はそのまま鞄をテーブルに置いて開いた。中には見たことのあるものから無いものまでのさまざまな治療器具が入っており、同時に薬品特有のつんとしたにおいが鼻を突いた。
「はい服脱いで」
「分かってるって」
一人で脱げるって。急かす新羅の手をよけながら臨也はトレーナーを脱いでソファの背に掛けた。じっと見ているのも悪いと思い静雄は視線を逸らしたが、ちらりと盗み見るように視線を戻すと、臨也の上半身は殆ど包帯で覆われていることがわかった。新羅はそれを解いていった。
すると傷だらけの生身の肌が露出した。傷は縫合されており、周りの皮膚が引き攣れていた。痛々しく赤く染まり、日に焼けていない色白の肌の上でひどく際立った。それが脇腹に左右で三か所、切り傷が大小十数か所も見えた。最初の状態がどうだったかなんて、想像するだけで鳥肌が立った。
 新羅は傷の具合をじっくりと観察して言った。
「うん、順調だ」
「そう」
すると、苦笑交じりの臨也の視線が静雄へと移った。
「見てても面白いものじゃないと思うけど」
いつの間にかじっと見てしまっていたらしく、静雄は逃げるように俯いた。
 ケースから新しい包帯やガーゼ、消毒液などを取り出している背に、臨也は問いかけた。
「あとどれくらいかかりそう?」
「二週間ぐらいかな。でもまだ激しく動くのは厳禁だし、外に出るのも駄目だから」
会話をしながらもてきぱきと新羅は処置を施していった。
「結構暇なんだけど」
「デスクワークでも十分やっていけるだろう?」
「まぁね」
時折消毒液が傷に沁み、反射で体が動いた。しかし残っている仕事は今のところ何も無かった。外回りは信頼するに値する助手に完全に任せているので、殆ど仲介業務に等しかった。
 無駄を省いた簡潔な処置が終わり、新羅は広げた器具を鞄に仕舞っていった。横目に見ればどれも鋭利なもので、いつか殺されるんじゃなかろうかとも思わせるのに十分だった。
「どうかしたかい?」
「いや、別に」
おそらく、いや絶対、この先も新羅だけは敵に回さないようにしよう。臨也はそう心に決めた。
「じゃあ、今度は週末ぐらいに来るよ」
ちゃんと大人しくしているように。そう念を押されて臨也は苦笑した。指摘されなくとも自分の体調管理ぐらい、とも思うが、過去に、今回含めて二度も世話になっているので言い返せなかった。
 新羅を見送って室内に残ったのは、部屋の主の臨也と、静雄だった。
「この時期って、受験生は家で大人しく勉強している時期だよね」
ソファに寝そべったまま、臨也は静雄に問いかけた。それは暗に、どうして来たの、と尋ねているも同然だった。そこで、静雄は何をしに来たのか思い出した。
「そうだ、あの代理の人」
「あぁ、波江さんのこと?」
あまりにあっさりと返ってきて、静雄は眉を顰めた。
「何なんだ?」
「何なんだって言われたら、優秀な秘書ってところかな。仕事に食事に接客。いろいろやってもらってるかな」
「へー」
静雄の声は低く、視線は刺々しさがあった。それに、今度は臨也の表情が崩れた。
「信じてないね」
「情報屋ってイカサマ業やってる奴を簡単に信じると思うか?」
「情報屋って信頼第一なんだけどなぁ」
そう言って苦笑する臨也をよそに、静雄は上着を羽織り、コートと鞄を掴んだ。
「……静雄君」
「放せよっ」
不意に腕をつかまれ、反射的に振り払った。放っておいてくれと言い返そうと振り返ったら、臨也はその場に膝を付いていた。もしかして、さっきので痛んだのか。静雄はあわてて膝をついて臨也の顔色を覗こうとした。
 だが、伸ばした手は臨也の肩を掴まなかった。代わりに、手首を掴み取られた。そしてそのまま引き寄せられた。
「っ」
力に任せれば簡単に逃れることができた。しかし相手は自分の好きな人であり、さらに怪我人というのもあって、下手な抵抗ができなかった。静雄はなされるがまま、臨也からの接吻を受け入れた。
 長いようで、短い時間。
「……これでも駄目かな」
「な、ちょ、はぁ……」
「こういうことしたくなる位、好きなんだけどな」
臨也の表情は真剣そのものだった。しかしすぐ一転して、掴みどころの無い笑顔に変わった。
「でもまぁ、今の君にはこれ以上は絶対しないけど」
 
 
 
  *   *
 
 
 
 結局長いこと居座ってしまい、帰宅するころには既に陽が沈みかけていた。
「二次試験、がんばってね」
「おう」
靴を履き終わった静雄は立ち上がったが、なかなか扉のノブに手をかけなかった。
「……さっきの」
ちょうど長めの髪が表情を隠していた。
「これ以上って、俺が高校生じゃなくなったら、その、するのか?」
その言葉に、たっぷり三十秒程、臨也は何も答えられず、妙な沈黙が流れた。先にいたたまれなくなったのは言い出したほうだった。
「悪い、へんなこと聞いた」
じゃあな!
半ば怒鳴るような形で静雄は言うと、勢いよく、それでも壊さないよう加減をして、扉を開けて早足に出て行った。
 足音が完全に遠ざかってから、臨也はそのまま斜めに倒れ、壁に頭をぶつけてしまった。
「……何あの子」
確実にこの場に波江がいたら、絶対零度の視線にさらされた上、言葉の刃をもって臨也の身を裂いただろう。 
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獅子えり
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自己紹介:
日本の真ん中あたりの都市に住処有。最近有名になった大学に在学。ドイツ語専攻中。ゲームは日常の栄養剤。小説書くのは妄想を形に(笑)本自体が好きという説明しがたく理解されにくいものを持っている。横文字は間違える。漢字は得意な方。英語は読み聞きはいいが話せない。他は自己紹介からどうぞ。
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