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日常/感想/二次創作小説※重要。小説へはカテゴリーの一覧から飛んでください。取扱CPはDRRR:臨静臨/APH:東西&味覚音痴/異説:78中心天気組/黒バス:赤降赤/VGユニット:騎士団航空海軍他。DRRRは情報屋左推奨中。TV小説漫画DVD所有。APHは東西LOVE独語専攻中。漫画全巻CD原作柄所持TV二期迄。異説はもう天気組愛。原作は7のみ。コンピ把握。81012は動画攻略wiki勉強。究極本厨。赤降気味でリバOK。VG擬人化フレイム・サンダー辺りとか。コメント・誤字指摘歓迎します!!転載とかはご遠慮願います。
No.
2024/11/21 (Thu) 21:06:45

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No.156
2012/01/07 (Sat) 22:27:11

番外編。副題「胃袋をつかめ」
時系列的には7あたり。

 

 新宿。
 静かな空間で、臨也はコーヒーを片手にパソコンに向かっていた。書類作成にチャット訪問、情報検索、連絡と、やらなければいけないことがたくさんあるのだが本人は至って余裕の表情でキーボードを叩いていた。なぜならチャットと情報検索はラップトップで行い、デスクトップで臨也は情報検索と連絡を行っていた。そして書類作成は波江に任せていた。
 ふと時計を見ると、十二時を幾分か過ぎていた。
「一回休憩して昼食でも食べようか」
「そうね」
波江は書類を上書き保存し、パソコンをスリープ状態にした。そして椅子から立ち上がるとそのままキッチンへと入っていた。臨也はラップトップでの作業を中断した。
「今日は何を作ってくれるのかな?」
頬杖をつき、そう笑顔で尋ねるが、波江の反応は冷やかであった。
「先に言っておくけれど、貴方の注文を聞く気はないわ」
「いや、俺は別に何でもいいよ。人が作った料理なら」
そう言うと、臨也は情報検索のため、デスクトップの画面に視線を移した。
 キッチンに立ったまま、波江は溜息をついた。そして独り言を臨也に聞こえるように言った。
「サラダとインスタントにでもしてやろうかしら」
「それは勘弁!」
がたりと椅子から音を立てながら立ち上がり、臨也は大きな声で拒否を示した。
「冗談よ」
しれっとした態度で波江は返し、棚から食パンを取り出しトースターに入れた。そして冷蔵庫からハムや卵、レタスを取り出した。サンドウィッチである。
 ――― 波江さんが言うと、洒落にならないからなぁ……
少しだけ嫌そうな顔をしながら、臨也は椅子に落ちるように座り、ほっと息を吐いてパソコンに意識を戻した。
 
 
 
   *   *   *
 
 
 
 授業後。
たまたま下駄箱前で鉢合わせた静雄と新羅は、そのまま途中まで一緒に帰ることにした。
「掃除はもう終わったのかい?」
静雄は教室の掃除当番だったので、遅くなると新羅は考えていた。特に今日はごみ捨ての日で更に時間がかかるはずだった。
 静雄は手を挙げて軽く握り拳を作って言った。
「ごみ捨てじゃんけんで勝ったから任せてきた」
「なかなか原始的な方法だね」
思わず新羅は苦笑してしまった。
「いいじゃねーか。全員納得してたんだし」
外靴に履き替えてエントランスを抜け、大勢の下校の生徒たちに混ざって門を抜けた。
すると不意に声をかけられた。
「よろしくおねがいしまーす」
「……」
「…どうも」
そう言って差し出されたパンフレットを、何の準備も用意もしていなかった二人は思わず受け取ってしまった。はっとそのことに気づいた時には、声をかけた女性はもうすでに別の生徒に声をかけていた。
 パンフレットに目を落とせば有名な進学塾の冬期講習勧誘の冊子などが入っていた。ぱらぱらとめくっていけば各講座の説明があり、さらに進んでいくと細かい字で日程表があった。歩きながら目を通すようなものではなかった。
 池袋中心街に向かって歩きながら、静雄は袋の中に一緒に中に入っていたものを取り出した。それは有名な某コーヒー会社が作っているチョコレートだった。しかし何かが違った。
「何だこれ」
外からでは分かりにくいが、触って形を確かめると、頭の中に描いたイメージと異なり、妙にへこんでいたり伸びていたりするところがあった。
「チョコレート、だよね?」
新羅も一緒になって触ると、やがて思いついたように一言。
「成程、『溶ける』に『解ける』をかけたってことか」
その引っ掛けに、静雄は納得はした。しかしやはりものは溶けたチョコレートなのである。
「…嫌がらせにしか見えねーな」
眉を顰めながら静雄はチョコレートを目の高さまで持っていった。
「まぁ、味は変わらないからいいんじゃない?」
「いや、なんとか現象っていって変わるんだろ?品質」
「あぁ、“ブルーム現象”ね」
「おぉそれ」
「でも大して変わらないよ」
細かいなぁ、新羅は苦笑した。静雄はそのチョコレートをパンフレットの入っていた袋に戻すと、それをまた鞄にいれた。
「じゃあ静雄、また明日」
「おう」
交差点で新羅は横断歩道を渡り、静雄はそのまま歩道をまっすぐ進んだ。ふと振り返ると新羅が手を振っていたので、静雄は軽く手を挙げて返した。そしてこの時にしか作らない料理のための材料などを買い揃えに行くため、静雄の足はスーパーマーケットに向かった。自然と足取りが軽くなり、気分がよくなった。
 スーパーに入ってプラスチックのかごを手に取り野菜売り場に出向いた。丁度家にある野菜が減っていたので、トマトやキャベツ、人参、馬鈴薯などを適当にかごに放り込み、卵のパックをかごの隅に置いた。ついでに牛乳やヨーグルトなどの乳製品も見て回った。肉や魚はまだ冷凍庫に入っているため流し、お菓子売り場に来た。ポテトチップスや箱詰めのクッキーなどを二、三選んでかごに入れ、新商品もチェックしたがめぼしいものは見つからなかった。
 それより、少し変わった光景が目に入った。
 静雄より年上なのだろう、若い男女が食玩前で熱心に商品を品定めしているのが目に入った。こんなところじゃなくサンシャインの向かいにでも行けばいいのにと静雄は思いながらその後ろを過ぎ去った。
 一通りかごの中身を確認してレジに向かおうとしていたところ、向かいから歩いてきた男を見て静雄は足を止めた。
「あ」
「お」
ニット帽をかぶったその男も静雄に気付いたようで足を止めた。彼も静雄と同じようにかごを持っていたが、変に似合っていた。
「あー、平和島静雄で合ってるよな?」
「はい」
名前を言ったその声に敵意を感じなかったので、静雄は普通に返した。もっとも、見覚えがあったことも多少影響していたのかもしれない。
「文化祭の時の人ですよね」
「あぁ。俺は門田だ、門田京平」
臨也とは同級生、いや、同窓生か。どちらも正しいのだが門田はあえて後者を選んだ。
彼の醸す雰囲気は職人のようだった。一本筋が通っており、その道を違わない強い人だと静雄は感じた。
 ――― 臨也と同い年には見えねーな……
かといって老けて見えるわけでもない。門田に比べて臨也は軽く見えてしまうのだ。臨也が現代の若者と例えれば、門田は一昔前のといった具合だろう。決して悪い意味ではない。
門田は静雄のかごの中身を見て言った。
「夕飯の材料か?」
「まぁ、そんなところです」
静雄も門田のかごの中身を見た。ぱっと見た限り、焼肉でもするのだろうかといった内容だった。
「俺もだ。連れが煩くてな」
「連れ?」
静雄は周りを見るが、門田の近くにそれらしい人は見当たらなかった。同じ年頃の同じような男性を想像した。
 しかし、突然大きな声が聞こえた。
「えー!スーパーにも置いてあるのこれ?!」
「大発見ですね!」
その聞こえてきた声に、門田は呆れを含んで溜息をついた。
「あいつら…」
「……」
声のした方は子供向けの食玩が置いてある方、ついさっき通ったばかりであった。確かあそこには若い男女がいたはずだった。彼らがその連れなのだろうと静雄は思った。しかし門田との接点がてんで分からなかった。
「引き留めて悪かったな」
「いえ」
「じゃ」
門田は静雄の横を抜け、お菓子売り場の方に入っていった。静雄はレジを通り、買ったものを袋に詰めてかごを戻しスーパーを出た。途中、門田の怒りの一言が聞こえたような気がした。
 
 
 
   *   *   *
 
 
 
 副職もとい、本職を片付け、臨也は静雄の家に向かって歩いていた。豊島区とはいえ、池袋から離れればそれなりに落ち着いた住宅街が広がっている。
 角地に立つその家はなかなかに上品なデザインで、庭も母親の庭づくりできれいに整えられていた。そして、いつも止まっていたコバルトブルーの小型乗用車がなかった。
 留守かとおもいつつ臨也はその玄関の門前に立ち、インターホンを一回押した。するとその予想は外れ、返事があった。
 向こうからはこちらの姿が見えるインターホンだったので、前置きはなかった。
『今開ける』
その一言で切れた。そして聞こえてきたのはいつもの女性の声ではなく、静雄の声だった。当然、玄関から出てきたのも静雄だった。
「こんにちは」
「やぁ。珍しいね、静雄君が出てくるなんて。お母さんは?」
門を開け、きれいに連なった煉瓦の道を進んで、臨也は玄関に着いた。
「仕事が遅くなるって」
臨也を招き入れ、静雄は靴箱からスリッパを出した。
「そっか、大変だね」
出されたスリッパに足を通し、臨也は静雄の後を追った。
「静かだね」
「幽も収録がとか言ってたからな。父さんはもとから単身赴任中」
階段を上がり、二階にある静雄の部屋に入った。
「そういえば、臨也は夕飯とかどうしてんだ?」
「適当に。昼は自分で作るときもあるけど夕飯はほとんど買って帰るかな」
デパ地下はなかなか美味しい料理がそろっているから。臨也はそう付け加えた。
中食、というと買い弁に近い生活を送っているのだろうか。見た目に寄らず食に関心がないのだろうか。
――― まぁ、新宿に住んでれば美味い店も多いだろうな。
けれど、それが身体によいものとは限らないかもしれない。それに、外食ばかりは駄目だ。なんとなくそう思って静雄は言った。
「食ってくか?」
「いや、それは悪いよ」
「どうせ中食なら食っていけばいいじゃねーか」
自分でも驚くくらいのきつい言い方をしてしまった。臨也の方も驚いたようで目を見開いていたが、やがて諦めたように、しかしどこか嬉しそうな顔で言った。
「じゃあ、いただこうかな」
 
 
 
*   *   *
 
 
 
 勉強後、二人はリビングに降りた。陽も完全に落ち、窓の外は真っ暗だった。
 静雄は一緒に降りてきた臨也の方を振り返って言った。
「ちょっとかかる」
「じゃあテレビでも見ていればいい?」
「おう」
そう言って静雄はキッチンに入った。
臨也はリビングのソファに座りテレビをつけた。するとチャンネルは丁度知識ある芸能人たちが出演するクイズ番組が始まったところだった。テーブルに置かれていた今日付けの新聞を開きテレビ欄を見るが、特に目ぼしい番組はなかった。テレビ台の下で動いているDVDレコーダーは吸血忍者カーミラ才蔵を録っているのだろう。そのままのチャンネルでいいかと思い、ふっと視線をテレビに戻して臨也は驚いて新聞を落とした。
「ッ?!」
解答者として、ガスマスクに白衣という特徴的すぎる男が出演していた。テロップにはしっかりと「岸谷森厳」と書かれていた。
「どうかしたか?」
「い、や……何でも、ちょっと驚いただけ」
この人こんなところにも出てくるのか。臨也は眉を顰めた。
 そして観ていると、森厳の解答率は恐ろしく高かった。おそらく妖精やらオカルトを調べていくなかで身につけた予備知識が功を奏しているようだった。臨也もこの人のお蔭で、いやこの人のせいでどうでもいい知識まで身についていったのだが。
 一方でキッチンに立つ静雄は、といた卵をフライパンに伸ばし、さっと軽く火を通してケチャップを混ぜたご飯の上に被せた。まだ包めるほどの技術はないので、被せるのが限界である。その上に別の鍋で作ったデミグラスソースを掛け、ダイニングテーブルに並べた。生野菜のサラダとコーンスープもその横に並べた。最後に食器棚の引き出しからスプーンとフォークを取り出して並べた。
「できたぞ」
「はーい」
臨也はもう見るかと言わんばかりにさっとテレビを消し、ダイニングテーブルに向かった。
 テーブルに並んでいたのは。
「オムライス…」
「こういう時にしかつくらねーんだ」
「お母さんが遅くなる時ってこと?」
「うん」
静雄は自分の皿に乗ったオムライスをすくって口に運んだ。どうしても目に入ってしまう野菜サラダから若干目を背けながら、臨也もスプーンを手に取った。
 
「美味しかったよ、ご馳走様」
「お粗末様」
静雄は空になった皿を重ね、流しに置いた。
「手伝うよ」
「いや、いい。客だし」
「そう?」
椅子を引いて立ち上がろうとしたが断られ、臨也は行き場無くそのまま椅子に座った。
水の流れる音、スポンジが食器を擦る音、食器同士のぶつかる音を聞きながら臨也は静雄の背中を眺めた。
静雄の作ったオムライスは美味しかった。図っていないのは事実だが見事に臨也の味覚の的を射ており、どんなに質のいい料理店のものより、波江が作ったものより、多分母が作ったものより、今まで食べた中で一番だった。
――― 「胃袋を掴まれるってこんな感じなのかな」
そう思ったのだが、それは確かに口から声を伴って出ていた。
「は?……!」
二人しかいない静かな空間。意外にもその声は通ってしまった。静雄は振り返って臨也を凝視した。なぜ振り返ったのだろうかと臨也は思ったがしばらくしてそのことに気づき、まさか言ってしまうとは思わなかった臨也も驚いて固まった。幸い食器が悲惨になることは無く、空しく水道水が皿を打つ音がしばらくの間響いた。
暫くして水を止めて、ぎこちない動作で食器棚に皿を戻し、ついでにグラスを二つ取り出して、冷蔵庫から出した麦茶を注いだ。
 ――― 冗談だ、冗談。
そう言い聞かせるが、一度誤解した自分の心臓はなかなか治まらなかった。いやそもそもこの誤解こそが誤解ではないのかと静雄は思った。女じゃあるまいし他意があるわけでもないのだから。
すると静かな中突然嫌な音が鳴り、二人して思わず驚いた。
「大丈夫?」
「あ、あぁ。コップ潰しただけだ」
薄いガラス製のコップは砕け、中に入っていた麦茶が手を濡らした。なかなかにすごい一言だがどちらも動じることなく、静雄は軽く水で流し、臨也は粉々になったコップを目についたビニール袋にまとめた。
「怪我はなかった?」
「ない、大丈夫」
静雄は食器棚からもう一つアルミ製のコップを出して注ぎ直し、席に着いた。
臨也は生き残ったグラスをを手に取ると、無言でお茶を啜った。
 ――― 本当、何言ってんだよ俺。
心の声が口から出るとか本当、情報屋として失格だろ。
 向かいの静雄に目を向ければ、向こうも向こうでアルミのコップを手に持ったまま止まっていた。
 麦茶の表面をゆらゆらと蛍光灯が揺らいでいた。
 ―――胃袋を掴まれたってことは、本当に美味しく思ってくれたってことだよな。
そう滅多に聞く言葉ではない。それに、他人に腕を振るったのは初めてだったので、静雄は言いようのない嬉しさに浸った。
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女性
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大学生
自己紹介:
日本の真ん中あたりの都市に住処有。最近有名になった大学に在学。ドイツ語専攻中。ゲームは日常の栄養剤。小説書くのは妄想を形に(笑)本自体が好きという説明しがたく理解されにくいものを持っている。横文字は間違える。漢字は得意な方。英語は読み聞きはいいが話せない。他は自己紹介からどうぞ。
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